栄養満点のあん肝とその過剰摂取の危険性

当ページのリンクには広告が含まれています。
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});

独特な外観を持つあんこうですが、その味は非常に優れており、「東のあんこう、西のふぐ」とも称えられるほどです。

あんこう鍋はこの魚を楽しむ代表的な料理の一つです。

あんこうの中でも特に「あん肝」という部位は、栄養価が高く、味も絶品ですが、過剰に摂ると健康に害を及ぼすこともあります。

この記事では、あん肝の栄養価とその健康への利点、適量摂取の重要性についてご紹介します。

目次

あん肝の概要

「あん肝」とは、あんこうの肝臓のことです。

約500メートルの深海に生息するあんこうは、特徴的な外見をしており、「誘引突起」というアンテナを使って小魚を捕食します。

その外見とは裏腹に、あんこうはほぼ全身が食用になります。

特に、あん肝は深海の過酷な環境で栄養を蓄えるため、非常に濃厚で滑らかな味がします。

その風味はフォアグラにも匹敵します。

あんこう自体は脂肪が少なくタンパク質が豊富ですが、あん肝には脂肪分と共にビタミンやミネラルも豊富に含まれています。

あんこうのベストシーズン

あんこうが一番美味しいのは、寒い12月から2月の間です。

この季節にあんこう鍋がよく食べられるのは、そのためです。

冬は気温と水温が下がるため、あんこうの身質が引き締まり、味がよくなります。

また、春の産卵に備えて冬に脂肪を蓄えるため、特に肝臓の脂肪が増え、あん肝はより濃厚な味になります。

産卵後は脂肪が減り、味も落ちます。

しかし、技術の発展により、今では冷凍やレトルト製品を利用して一年中おいしいあんこうを味わうことができます。

あん肝の栄養分析について

まずは、あんこうとその肝臓部分であるあん肝の栄養価を詳しく見ていきましょう。

100gあたりの栄養価(食べられる部分)で比較すると、あんこうの身とあん肝は次のようになります:

  • エネルギー(kcal):あんこうの身は58、あん肝は445
  • たんぱく質(g):あんこうの身は13、あん肝は10
  • 脂質(g):あんこうの身は0.2、あん肝は41.9
  • 炭水化物(g):あんこうの身は0.3、あん肝は2.2

このデータから、あんこうの身は脂肪が少なくカロリーも低いことが分かります。

一方で、あん肝は約40%が脂肪で、高カロリーです。

ただし、あん肝も100gあたり10.0gのタンパク質を含み、炭水化物は2.2gと低いです。

このため、食べ過ぎると脂肪とカロリーの摂取が多くなるので注意が必要ですが、適量ならばお酒のおつまみにもぴったりです。

あん肝に含まれる栄養成分の詳細

あん肝はビタミンやミネラルなどの微量栄養素が豊富です。特に重要な栄養素の量とその効果を見てみましょう。

100gあたり(食べられる部分)のあん肝に含まれる栄養素は以下の通りです:

  • 鉄(mg):1.2
  • 銅(mg):1.00
  • レチノール(μg):8300
  • ビタミンD(μg):110.0
  • ビタミンE(mg):13.9
  • ビタミンB2(mg):0.35
  • ビタミンB12(μg):39.1
  • ビオチン(μg):13.4

これらのデータは、日本食品標準成分表2015年版(七訂)からのものです。

カルシウムの吸収を助けるビタミンD

あん肝にはビタミンDが豊富に含まれており、これはカルシウムの吸収を助け、骨粗しょう症の予防に役立ちます。

例えば、あんこうの身には100gあたりビタミンDが1.0μg含まれていますが、ビタミンDが多いとされる鮭でさえ100gあたり33.0μgです。

これに対し、あん肝には100gあたり110μgのビタミンDが含まれており、その量の多さが際立ちます。

ビタミンDは脂溶性ビタミンで、脂質が豊富なあん肝に特に多く含まれています。

エネルギー代謝のサポート

あん肝には、エネルギー代謝に欠かせないビタミンB2とビオチンが豊富に含まれています。

ビタミンB2は体内でほとんどすべての栄養素の代謝を助け、エネルギー生成を促進するため、疲労回復にも役立ちます。

さらに、ビオチンも糖質、アミノ酸、脂質の代謝に関与し、ビタミンB2とともにエネルギー代謝をサポートします。

これらのビタミンは、皮膚や粘膜の健康を維持するのにも重要で、口内炎や肌荒れの予防にも効果が期待できます。

血液の健康を支える栄養素

あん肝には、血液の健康を支える鉄分、銅、ビタミンB12が豊富です。

鉄は赤血球の生成に必要なミネラルであり、貧血予防や改善に役立ちます。

銅は骨や筋肉、血液の形成に関わり、特に造血機能において鉄と共に重要な役割を果たします。

ビタミンB12はアミノ酸や脂質の代謝に関与し、その不足は悪性貧血を引き起こすことがあります。

これらの栄養素が豊富なあん肝は、貧血やそれに伴うめまいや立ちくらみなどの症状の予防や改善に効果的です。

妊娠中の摂取に注意が必要

あん肝には大量のレチノール(ビタミンA)が含まれています。

レチノールは、視力の維持や皮膚・粘膜の健康、細胞の成長と分化に不可欠な脂溶性ビタミンですが、過剰摂取は健康へのリスクがあります。

水溶性ビタミンと異なり、体内に蓄積される脂溶性ビタミンAは、過剰摂取に特に注意が必要です。

特に妊娠中は、ビタミンAの過剰摂取が胎児の発育に悪影響を及ぼすことが懸念されます。

ビタミンAの過剰摂取は妊婦だけでなく、一般成人においても吐き気や頭痛、めまい、視力の問題を引き起こすことがあります。

長期間の過剰摂取は、中枢神経系や肝臓、骨、皮膚に影響を与える可能性があります。

ビタミンAは必要な栄養素ですが、特に妊娠中の方や一般成人も含めて、あん肝の摂取量には注意が必要です。

あん肝に多いプリン体とその影響

あん肝はプリン体を豊富に含む食材です。プリン体は魚卵や白子、アルコール飲料にも多く含まれている成分です。

体内でプリン体が代謝されると「尿酸」という物質に変わります。

尿酸値が高い状態が続くと、尿酸が結晶化し関節に溜まり、炎症を引き起こすことがあります。

これが痛風と呼ばれる病気です。

特に痛風は足の関節、足の指に発症しやすく、強い痛みを伴います。

したがって、プリン体が多いあん肝を過剰に摂取すると痛風のリスクが高まります。

すでに痛風を持っている方や血中尿酸値が高い方は、あん肝の摂取に注意が必要です。

まとめ

あん肝は「海のフォアグラ」とも呼ばれるほどの濃厚な味わいで、重要な栄養素が豊富に含まれています。

しかし、あん肝を過剰に摂ると、ビタミンAやプリン体を摂り過ぎることになり、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。

栄養価が高いあん肝ですが、食べ過ぎには注意し、適量を楽しむことが大切です。

適量を守ることで、あん肝の美味しさと栄養を安全に味わえます。

(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次