津市末広町「どんぐりわーく.spin」

マルシェで異彩を放つ”木工製品”がズラリ

お弁当など食料品を扱うブースが多い津がんばるマルシェで、ちょっと珍しいブースを発見。それが「どんぐりわーく.spin(どっとすぴん)」です。

取り扱う商品は、ぬくもりあふれる木工製品の数々。細部まで表現された働く車や恐竜、知育玩具など、ひとつひとつ丁寧に作られた木工製品は、「どんぐりわーく.spin」で働く皆さんによる手作りです。

「どんぐりわーく.spin」は、津市末広町に位置する就労継続支援B型の事業所。ちなみにB型の事業所とは、一般雇用が困難である方に対し、就労の機会や就労に必要な知識や能力を身につけるためのサポートをし、障がいや症状にあわせ自分のペースで作業を行う事業所です。

2022年11月現在、同事業所には18名の利用者さんが在籍。多くの方が内職をされているそうですが、一部の利用者さんが木工制作に携わっています。

今回はどんぐりわーく.spin指導員の山中英徳さんにお話を伺いました。

ブースに並ぶ木工製品はすべて、利用者さんの手作り。しかもデザインから設計、木のカット、組み立てなど、そのすべての工程を、ひとつずつみんなで考えて作っているそう。

見ているだけでもワクワクしてしまう車や恐竜などの木工製品は、写真や実物を見てデザインし、どんなパーツが必要かを考察し、設計しています。その後、板に印をつけて糸鋸(いとのこ)や手鋸(てのこ)で細かなパーツまで切り出し、ひとつひとつ丁寧にヤスリがけをしボンドで接着。時には穴をあけて可動するような仕組みにしたりニスを塗ったりするなど、細部にまでこだわって作られています。

じつは山中さんは以前機械設計のお仕事をされていたそうで、設計のアドバイスをすることもあるのだとか。制作過程で納得いかなかったり失敗してしまったりすれば改良しながら作っていくそうで、制作に1か月以上を費やすこともあるそう。「正直、手間暇を考えると値段に見合っていません。」と山中さんは笑います。

どんぐりわーく.spinの木工製品は「え?ゼロが1つ足りないのでは?!」と思うほどのお値段。地元の材木屋さんから提供いただく端材を再利用していることもコストカットできている理由だそうですが、手に入れやすい価格は私たちにとって嬉しい限りですね。お子さんやお孫さんにプレゼントされる方も多く、まとめてたくさんの注文をいただくこともあるのだとか。

ただどんぐりわーく.spinの木工製品は、ひとつひとつ手作りされているので大量生産ができません。そしてほぼ1点モノ。お気に入りを見つけたら、迷わずGETすることをおすすめします。

木工製品を利用者全員でつくることが目標

どんぐりわーく.spinの木工製品は道の駅などでも販売されていますが、津がんばるマルシェは特別な場所だと山中さんは話します。

「マルシェは、直接お客様にお会いできる我々にとって大切な場所。売れる時も売れない時もありますが、お客様から『スゴイですね』と言われることが、利用者さんの大きな自信やモチベーションに繋がっています。マルシェでは利用者さんに、売れる喜びや達成感を味わってもらいたいですね。」

そして山中さんはこう続けます。「現在事業所で木工製品を制作しているのは、ごく一部の方。ほとんどの利用者さんは事業所内で内職をしていますが、そんな人たちにもいつか木工制作に加わってもらえたら…というのが、私の思いです。もちろんみんなが何でもできるわけではありませんが、利用者さんによってはヤスリをかけるのが得意な方や包装作業が好きな方など、その個性を生かした担当工程がきっとあるはず。みんなで分担して木工製品を作り、販売し、たくさんの方にご購入いただける…そんな日が来たら嬉しいですね。」

聞けば、現在木工に携わっている方々も、事業所に来るまでは工作をしたことがなかったのだとか。試行錯誤しながら技術を習得し、作る喜び・お客様に買っていただける喜びを感じているからこそ、毎日頑張って事業所に通い作業ができているといいます。

最後に山中さんと利用者さんは、こう話してくださいました。「商品を買わなくてもいいので、ぜひ見て触ってほしいですね。そして意見や感想を聞かせてください。皆さんからいただいた声を、今後の製作に生かしていきたいです。」

ひとつひとつ心を込めて丁寧に作られた木工製品は、見ているだけでなんだか“ほっこり”する、ぬくもりあふれる作品ばかり。小物入れなどの実用的なものや、手芸品の販売もしています。ぜひお気軽にどんぐりわーく.spinのブースを覗き、「こんな作品も作って欲しい!」とリクエストしてみてくださいね。

津市公式HP
TEL059-229-3114・3169
FAX059-229-3335