美杉特産のこんにゃくが都会で大ヒット!
皆さんは旅先などで、普段食べ慣れているはずの食材のおいしさに驚いたことはありませんか?たとえば「ご飯が甘い」「味噌に深みがある」「豆腐が濃厚」など、口に入れた瞬間、「いつもとちょっと違う!おいしい!」と感じることってありますよね。

津市美杉町・藤田こんにゃくの『田舎こんにゃく』は、噛みごたえや歯切れのよさ、素朴な味わいとは反対に存在感を放つ、まさに「いつもと違う!おいしい!」と感じるこんにゃく。この味が忘れられず、見つけると必ず購入するリピーターも多いといいます。
「美杉では、昔はどこの家庭でも正月のお餅をついた後の臼で、こんにゃく芋をついてこんにゃくをこしらえたものです。」と、藤田こんにゃくの藤田てい子さんは話します。
藤田さんが藤田こんにゃくを創業したのは40年以上前。当時だんだんとこんにゃく芋農家が減る中、嫁ぎ先の親戚がこんにゃく芋の生産をしており、ひょんなことから藤田さんもこんにゃくを作ることになったのだとか。

「子どもの頃両親が作っていたのを見ていたので、見様見真似でやってみたらおいしくできたんです。当初は自宅で食べる分だけ作っていましたが、行商に来ていた魚屋さんが『ついでに売ってきてあげるよ。』と言ってくれて。内心『こんな田舎のこんにゃくが売れるんかな?』と思っていたのですが、予想に反し次の日は10個、その次の日は15個とどんどん注文が増えていきました。田舎のものを求めている人が多かったんでしょうね。」と藤田さんは笑います。
こうして「美杉のこんにゃくはおいしい。」と評判になり、百貨店に出せば1時間で完売したりと、藤田こんにゃくのこんにゃくを求める声はどんどん大きくなっていきました。
昔ながらの製法で丁寧に作られる手作りこんにゃく

「おいしさの秘訣はいい芋を使用し、美杉の冷たくておいしい水を使い、キレイな空気の中で愛情を込めて作ること」と藤田さんは話します。

美杉町ではこんにゃく芋生産者が減り、今や美杉産のこんにゃく芋だけでこんにゃくを作ることは不可能なため、藤田さんは全国の良質な産地を訪れ、広島などから厳選したこんにゃく芋を入荷。昔のままの製法で、ひとつひとつ丁寧に作っています。

こんにゃく作りは体力も必要なお仕事ですが、じつは藤田さん、1964年の東京オリンピック・砲丸投げの強化選手に選ばれるほどの実力者。スポーツで鍛えた身体と精神力で、これまでこんにゃく作りに励んできたそう。
「起業した当時は『女が会社をやるなんて』などいろいろ言われました。でも“負けるもんか”という精神と、皆さんにおいしいと喜んでもらえることで、ここまで頑張ってこられました。」と笑顔で語る藤田さん。こうして藤田さんが守ってきた美杉のこんにゃくは、二代目の息子さんへと受け継がれています。
新商品開発にも果敢に挑戦!

津がんばるマルシェのブースには、藤田こんにゃくのさまざまな商品が並びます。メインである『八知玉生芋手練りこんにゃく』(通称:田舎こんにゃく)をはじめ、藤田こんにゃくの商品は全てアク抜き済みなので、湯がくことなくそのままスライスしてお刺身で食べることが可能です。
また、おいしいこんにゃくをたくさんの人に食べてほしい…そんな思いから、藤田こんにゃくではさまざまな商品を開発してきました。
たとえば、『味付けこんにゃく』は、唐辛子やこんぶなどいろいろな味が揃い、お酒のおつまみにもピッタリ。

また、息子さん考案の『こんにゃくようかん』は、独特の食感と控えめな甘さ、そしてヘルシーさが人気です。

そして、取材のこの日も大人気だったのは『ずいきの巻寿司』と『こんにゃくの巻寿司』。もちろんこれらも藤田さんの手作りで、出店の日は朝からせっせと巻いているそう。

「昔はかんぴょうではなく“ずいきの巻寿司”はよくあるものだったんですよ。でも今はなかなか売ってないので、年配の方は『懐かしい~』と喜んでくださいます。」と藤田さん。
また味付けられたこんにゃくの食感とマヨネーズのまろやかさが絶妙な『こんにゃくの巻寿司』は若い人にも好評で、この日も早々に完売。巻寿司を一人で何本も購入される方もいらっしゃいました。
こんにゃく以外にも、竹の子ご飯やきゃらぶき、らっきょう漬けなど藤田さん手作りの商品の数々は、なんだかホッとするおふくろの味。
「お客さんが『おばちゃん来たよ!』と、マルシェに会いに来てくれるんです。『よく来てくれたね、ありがとうね』と幸せを嚙みしめています。私はここに来てお客さんに会えることがとても楽しみなんですよ。」と藤田さんは嬉しそうに話してくれました。
たくさんの人を惹きつける藤田こんにゃくの商品と藤田さんのお人柄。ぜひマルシェでその魅力に触れてみてください。
■藤田こんにゃく
住所:津市美杉町八知6909-1
電話:059-274-0781